首なしマイク

ネムーン中のおしどりをはね殺すのが唯一の趣味だったマイクは

風見鶏の向きを向かい風に固定する仕事をとうとう首になった

鳥貴族でやけ酒した勢いでとり怖し予定の廃墟に迷い込んだんだ

だんだん酔いも醒めてくると薄気味悪さに鳥肌が立って

振り向くと自分が何者か思い出せない

ちょうど自分がマイクであることを思い出して3歩進んだところだったんだ

何やら廃屋の割れた窓から断続する騒音

覗くとそこには俺を首にした人事部長の姿があった

その手に光る刃に映るものを見てマイクは言葉を失った

あれは俺の首じゃないか

 

あれからマイクは何も忘れることはなかった

鳥目に悩むこともなくなった

リストラに怯える必要もなくなった

だけどやけ酒は控えることにした

嘔吐すると自分の体にかかってしまうからね